制作年

昭和28年(1953)  F200号 1812×2710 合板 油彩 額装  

1956年寄贈    視聴覚室展示

作品について

本作品「かたち」は我が校の至宝である。1953年の第38回二科展に出品された、山口画伯51歳の作品。裏面に一九五三(縦書き)、チョークで「かたち」と大書してある。

鈴木睦美氏の「校内美術品めぐり(8)」(1968年頃)によれば、『同窓会館の大作を知らない人はいないだろう。200号の大作で二科展出品の山口長男の作品である。芸術の純粋化運動が極度に進むと、ラッキョウの皮をはぐように、ついには何もなくなってしまうだろう。それは絵画だけでなく、文学でも詩でも同様の道をたどる。あまりに自我的になると、その芸術は他人にはわからなくなる。ピカソやブラックは、こうした現象から具象の世界にかえっている。山口長男はフランスに起こった立体派(キュービズム)の方法とは異なって、画面という限られた世界に一本の線をひくことから人間のもっている美の追究を始め、それを養い育て美しい世界を求めようとする作家であり、その歩みは世界中に類を見ない。この作品の色と形(極度に単純化された)が、どんな感興を与えるでしょう。』とある。

本作品は当時本校の美術教師であった杉浦俊雄氏が美術学校時代山口画伯の親友であった関係で、1956年の同窓会館竣工時に本校同窓会に贈呈され、かつて図書館の北側に存在した同窓会館の壁の一部としてはめ込まれていた。平成12年本館改築の際に本館と併せて同窓会館も取壊しとなり、その時に壁から取り外された。その後アクリル製カバーのついた額を特注して収め、図書館2階の視聴覚室の後方壁面に展示された。平成28年の図書館棟改築後も視聴覚室の後方壁面に展示されている。

80年国立近代美術館貸出修復。

創立100周年記念美術展(2002.8.13~18)於:豊橋市美術博物館出品。

創立120周年記念美術展(2022.5.24~29)於:豊橋市美術博物館出品。

作者について

山口 長男(やまぐち たけお)  明治35年(1902)~昭和58年(1983)

日本抽象画の先駆者。韓国京城(ソウル)に生まれ19歳まで過ごす。本郷洋画研究所で岡田三郎助に学び、1922年東京美術学校入学、27年卒業とともに 渡仏、ピカソ、ブラック、また当時渡仏中の佐伯祐三にも刺激を受け、彫刻家のオシップ・ザッキンのアトリエにも出入りし立体的な造形をも習得に努めた。31年京城に帰る。戦後、京城を引き上げ上京、二科展の再結成に当たり62年まで会員として参加、53年アブストラクト・アート・クラブの創立に参加、54年同会員としてアメリカ抽象美術展(ニューヨーク)に出品、武蔵野美術大学教授就任、55年第3回サンパウロ・ビエンナーレ、56年第28回ヴェネツィア・ビエンナーレの日本代表として出品、その後グッゲンハイム美術展、チューリッヒ市立美術館「現代日本の絵画展」など国外での出品広がる。61年芸術選奨文部大臣賞受賞、82年第3代武蔵野美術学園園長に就任。典型的な作品は、黒系の地に黄土色または赤茶色系の大きな色面を配したもので、いわゆる「ハード・エッジ」の抽象画とは違った温かみが特徴である。