
制作年
昭和53年(1978) F50号 909×1169 紙本着彩 額装
2017年寄贈 閲覧室展示
作品について
高畑画伯の「情念の緋色」である。昭和48年(1973)頃から、炎と文様で埋め尽くされた宿業と情念の世界が立ち現れる。1974年の暮れから翌年に掛けてのインドへの取材旅行は高畑画伯の創作の方向を決定付け、朱赤を基調とするインドの情景が画で独自の様式を確立する。しかし、主題はインドに留まらず、1976年の暮れから翌年初頭にかけて中南米各地を巡り、古代の神々を彫り込んだ遺跡にインスピレーションを得た。本作品は、「遺跡の人Ⅰ~Ⅳ」四連作のひとつ。
出展:1978春季創画展、1991女流画家展、日本画・心象と幻想の世界‐高畑郁子展(1995)、情念の緋色‐高畑郁子展(2003)
作者について
高畑 郁子(たかはた いくこ)高女44回(昭和23年卒3月卒)
1929年千葉県印旛郡千代田村(現・四街道市)に生まれる。生後間もなく豊橋へ転居。豊橋市立高等女学校で石川新一に水彩画を学んだ後、1951年に中村正義・星野眞吾・平川敏夫・大森運夫と中日美術教室開始し彼らとの交流のなかで独学で日本画をはじめた。また同年新制作展に初入選を果たし、以後同展を拠点に活動を展開する。1964年星野眞吾と結婚、74年にはインドで目にした情景に触発され、仏やヒンドゥーの神々が散りばめられた高畑独自の密度感ある様式を確立した。この年、新制作協会日本画部が独立して新たに創画会が発足すると、同展での三度にわたる創画会賞受賞を経て、81年に会員に推挙された。主題もインドにとどまらず、中南米やチベットの遺跡、日本の遍路巡礼など各地を取材し、多様な展開をみせ、仏教的なモティーフにも焦点をあて、独自の解釈による荘厳なマンダラや構成画を創り出した。80年’80セントラル美術館日本画大賞展佳作賞、81年中日展奨励賞、創画会会員、87愛知県文化選奨文化賞受賞、91年文化庁作品買い上げ、2009年豊橋文化賞受賞、2012年豊橋市表彰(市勢功労者・文化振興)受賞、山口県立美術館・名古屋市立美術館・豊川桜ヶ丘ミュージアム作品所蔵。個展多数開催。