このたび、故坂口紀良画伯(2019年逝去)の作品「サントリーニ島の白いテラス」をご遺族のとし子夫人よりご寄贈いただきました。

題名:「サントリーニ島の白いテラス」
坂口 紀良(さかぐち のりよし)1948~2019
東18回1966(S.41)年3月卒
平成18(2006)年制作 P30号(910×652) キャンバス・油彩・額装
令和8(2026)年2月 夫人より寄贈
作品について
サントリーニ島はギリシア領のエーゲ海に浮かぶ島で、断崖の上に白壁の家々が密集する景観で知られる観光地である。坂口画伯は2006年(H18)8月25日~9月12日、家族を伴ってギリシアへ取材旅行をし、サントリーニ島へは9月8日に訪れている。
エーゲ海を望むホテルか、あるいは断崖の白壁の家なのだろうか。かなり高いところから見下ろした風景である。美しいエメラルドグリーンに青が混じった海と、軟らかい線で描かれた幾何学的で立体的な近景の石段が調和して絶妙なハーモニーを奏で、明るい画面からは生きる歓びが伝わる。
これ程、爽やかで明瞭で素直な世界を描いて人を幸福にし感動させるのは何故か。画伯は「絵の空間に明るさを感じさせるのは、現象的な光と影ではなくて、色とフォルム(形)によって、光を感じる空間を生みだせるかどうかなんです・・・」と語った。まさに画家の傑出した才能と試行錯誤、弛まぬ自己研鑽によりもたらされた賜物であることがわかる。こんな美しい場所へ一生に一度は行って暮らしてみたいものである。
作者プロフィール
1948年(S.23)豊橋市に生まれる。
1966年(S.41)豊橋東高校卒、東18回。

東京芸術大学油絵科卒、卒業時に安宅賞受賞、作品は文部省買い上げとなる。故古池郵政大臣の肖像画が国会議事堂に飾られている。1974年(S.49)大学院を修了し77年(S.52)パリに遊学、80年(S.55)立川市にアトリエを移し、92年(H.4)からは自然に恵まれた風光明媚な多摩湖畔にアトリエ兼自宅を構えた。
若いうちから画家としての才能を認められ現代作家として頭角を現し、東京を中心に全国の有名百貨店や銀座の画廊などで個展を精力的に開催した。
南フランス、イタリア、イギリス、ニューヨークなどを取材旅行し、風景から抜け出たような鮮やかな色彩と、透明感のある独自の作風を確立し、地中海の風景や静物画を多く描いた。また音楽にも造詣が深く、自らホルンを演奏した。作品のモチーフとして部屋の中に置かれた楽器がしばしば登場する。軽やかな音楽が聞こえるような、且つシンプルでセンスのよい作風は坂口作品の魅力である。
坂口画伯は油彩画だけでなく、常に移ろいゆく光を留めるためガラス絵の制作も行った。
その透明感には光の他に画伯の「その瞬間の気持ち」が込められている。2019年逝去。
